片岡 千之助

Feature

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片岡 千之助

TOHAwithSennosuke Kataoka

2026.09.08 Update

常白(トハ)
余白を纏い、自分に還る。

 「忙しい」という言葉で塗りつぶされていく毎日の中で、私たちは一体、何のために進み続けているのだろう。情報の波、数多の予定。気づけば、心と身体は常に張り詰め、本当の自分を見失うことも少なくありません。TOHA(トハ)が提案するのは、ただ休むためだけの時間ではありません。あえて立ち止まり、深く呼吸する。その「空白の時間」こそが、明日を生き抜くための最も贅沢なエネルギーになるのです。私たちが辿り着いたのは、「常白」という考え方。今回、その哲学を紐解くためのヴィジュアルとして、歌舞伎という伝統の最前線に身を置く片岡千之助丈を迎えました。旧小津安二郎邸の静寂に身を置き、TOHAのリカバリーウェアを纏う彼の姿には、激しい緊張の舞台と、静かな日常のコントラストが同居していました。常に極限の緊張を強いられる表現者が、あえて力を抜く瞬間に選ぶ服。それは、彼が表現者として進み続けるために不可欠な「静寂」の一部でした。

About TOHA

「常に余白を保つ」を意味する“常白”を語源とし、2026年秋冬シーズンにアーバンリサーチからデビューした新ブランド。現代人のライフスタイルに寄り添い、「忙しい日常のなかであえて立ち止まり、身体と向き合うきっかけを生み出したい」という思いが込められている。都市生活に馴染むデザイン性と機能性を兼ね備えたリカバリーウェアをはじめ、身体と向き合う時間を豊かにするアイテムを展開する。

静寂という物語
旧邸宅で交わした視線

 撮影を行った旧小津安二郎邸には、独特の時間が流れていました。畳の香り、窓から差し込む柔らかな光、そして庭の緑が落とす濃い影。その空間の中で、片岡千之助丈は、まるで最初からその場所に存在していたかのように自然にTOHAを纏っていました。彼がまとうのは、単なる衣類ではなく、彼自身の呼吸そのもののように見えました。歌舞伎という、数百年の伝統を背負い、一瞬の隙も許されない世界に生きる彼にとって、日常のオンとオフの切り替えは、単なる休息を超えた「命の洗濯」に近いものかもしれません。彼がTOHAを身に纏い、ふと目を閉じて坐禅を組んだ瞬間、その場の空気がスッと澄み渡りました。緊張から解き放たれ、本来の自分へと還っていく。そんな無言の所作こそが、私たちがこのブランドを通じて伝えたい「常白(余白)」の価値そのものだったのです。

都市生活に、
静寂をデザインする

 TOHAが大切にしているのは、都市生活に馴染む「機能とデザインの調和」です。リカバリーウェアとしての高い機能性を持ちながら、一見してそうとは分からないほど洗練されたフォルム。それは、家で過ごす時間だけでなく、ふとした外出や、移動中の心身を優しく包み込みます。肌に触れた瞬間の心地よさ、身体のラインを拾いすぎない計算されたシルエット。それらは、緊張感から解放された自分へとスムーズにスイッチを切り替えるための「境界線」となります。機能的でありながら、日常の風景に溶け込むこと。それは、私たちTOHAが最もこだわった「余白」の形です。

テクノロジーは、
目に見えない優しさ

 TOHAのリカバリーウェアには、独自開発の素材「CERAFLUX(セラフラックス)」を採用しています。特殊セラミックスを練り込んだその繊維は、身体から出る遠赤外線を吸収・輻射し、穏やかに血行を促進。筋肉のコリを解きほぐし、疲労をサポートします。しかし、私たちがこの素材を選んだ本当の理由は、数値的な機能だけではありません。「着るだけで、身体が深呼吸できる」。その感覚を、日常の当たり前の風景にするためです。ダンボール素材やポリエステルタスランといった、上質な素材の質感と相まって、機能的でありながら、心まで解き放たれるような着心地を実現しました。撮影の合間、ふと片岡さんが身体をほぐすように大きく伸びをした姿が、とても印象的でした。ふと袖を通した時に見せた柔らかな表情と、その無意識の所作。それらは、TOHAが日々の緊張をほどき、身体を深いリラックスへと導いてくれた証のように感じられ、私たちも思わず見惚れてしまったのです。

二つの質感。
その日の「余白」を仕立てる

 TOHAが提案するリカバリーウェアには、二つの表情があります。一つは、厚みのあるダンボール素材。適度なハリと上品な光沢感を備えており、都市の街並みにも美しく馴染む端正さがあります。ルームウェア見えしないこの素材は、家で過ごす時間だけでなく、大切な誰かと会う前や、移動中にも自分を整えてくれる。もう一つは、軽やかな布帛素材(ポリエステルタスラン)。驚くほど軽量で、身体の動きに合わせてしなやかに馴染むナチュラルなストレッチ性が魅力です。風を孕むような軽快さは、身体を解放したい休日や、より深いリラックスを求める夜に最適です。どちらを選ぶか。それは、その日のあなたがどんな『余白』を求めているかという問いにも似ています。凛とした空気の中で自分を律したい日はダンボール素材を。心身を解きほぐし、自然体でいたい日は軽やかな布帛を。TOHAは、その日の気分に合わせて選べる二つの選択肢で、あなたの日常をサポートします。

香りと共にある、
健やかな時間

 「常白」を体現するために、私たちは身体が向き合う時間そのものを豊かにするアイテムも揃えています。その一つが、老舗香木店「山田松香木店」と特別に調合したポプリです。「和と余白」を感じさせるカミツレの香りを中心に、天然香料ならではの高品質で奥深い薫香を追求しました。視覚だけでなく、嗅覚からも「余白」を感じ、自分自身の内側へと意識を向ける。TOHAを纏い、お香を焚く。生活の中に香りを取り入れることで、一日を終えた自分を労う、より深い鎮静の時間が生まれていきます。

あえて、
立ち止まるという選択

 激しく時代が動く中で、自らの中心に「白」を保つこと。それは、自分自身を大切にするための最も勇気ある選択です。進み続けるために、あえて立ち止まる。その大切さを、片岡千之助丈という一人の表現者と共に、私たちは提示しました。機能美という鎧を脱ぎ捨て、心身を解き放つ瞬間。その境地を、ぜひあなた自身の日常へ。

Profile

片岡千之助 | Sennosuke Kataoka
2000年生まれ、東京都出身。2004年、初代片岡千之助として4歳のときに歌舞伎座で初舞台を踏む。2011年、片岡仁左衛門と戦後初の祖父、孫での「連獅子」を実現させる。2012年(当時12歳)から自主公演「千之会」を主催するなど芸事への研鑽を積みながら、2017年にはペニンシュラ・パリにて歌舞伎舞踊を披露。2020年には「カルティエ(Cartier)」腕時計パシャのアチバー(達成者)に選ばれる。現在は青山学院大学に在学しながら、映画や現代劇舞台、ドラマなどさまざまな分野で表現者としての活躍の場を広げている。
Instagram: @sennosuke.official